衒学記鳥の日樹蝶

メイン記事が数学にシフトしてきたブログ。

整数問題、合同式と解の定義域、累乗と倍数と憧れの整数論(No.042)

質問

8102-2018m=2n乗

これの解き方を教えてください;;(´`);; - Yahoo!知恵袋

補足:

ちなみに数検第325回の大問7です

8102-2018m=2n乗↑これの解き方を教えてください;;(∩´~`∩);; - Yahoo!知恵袋

回答

整数問題は見た目はシンプルだけど取っ掛かりが難しいですね。

 

まず前提。

求められているm,nは少なくとも整数でしょうね。でないと分数や対数を使ってどんな数でも表せてしまうので。

そして後述する理由からこの問題おそらく「m,nは自然数」という条件が書いてあったはずです。

(もしそうでなければ数検いったいなんちゅう問題出してんだ……)

そういう制約条件を見逃しているとこの手の問題は解けなくなりますのでくれぐれもご注意を。

 

次に式が引き算の形をしてる点に注目しました。

2018mについて、

2018×4 = 8072

2018×5 = 10090 のため、

(左辺)8102 - 2018m はm5 で負の値になってしまい、2^nと一致しない。

ので、mは4以下である自然数(1,2,3,4)のいずれかと言える。

 

今度は素因数分解に踏み込む。

8102 = 4051×2

2018 = 1009×2 より、与式は

 

2^n = 2(4051 - 1009m)

2^(n-1) = 4051 - 1009m、係数の剰余を考えて

= 3042 + 1009(1-m)

= 2033 + 1009(2-m)

= 1024 + 1009(3-m)

= 15 + 1009(4-m)

ここまで変形できれば、つまり今回の問題は、

「2の累乗数を1009で割った余りが15となるような数は?」と言い換えられる。

 

この段階まででも薄々お気づきかもしれませんが、もう一つダメ押しで考察。

15(奇数)と足して2^(n-1)(偶数)にできるような数は(奇数)でなければならない。

1009(奇数)とかけて(奇数)とならなければならないのだから、(4-m)は(奇数)でなければならない。

よって先の、4以下である自然数mのいずれかの候補から偶数は脱落するので、

m=1 またはm=3 が答えである。

 

ここまで容疑者を絞り込めたら、実際に代入して確認してみて、

m=1 ;

15 + 1009(4-m) = 15 + 1009×3 = 3042

これは2の累乗数にならないので不適。

m=3;

15 + 1009(4-m) = 15 + 1009×1 = 1024

= 2^(11 -1)

 

かくして結論。

8102 - 2018m = 2^n を満たす自然数組(m,n) = (3,11)のみである。

 

……実は、

2^(n-1)  = 15 + 1009(4-m)

の式を見て分かる通り、「mは整数でよい(負の値でも構わない)」とすると、1009(4-m) の項は際限なく大きくなっていきます。

それに応じて2^(n-1) もどんどん大きくなって、多分整数組(m,n)は無限に存在するように感じます。

 

ざっと計算機で探してみると、n-1 が514,1018,1522,2449,2953,……のときに1009で割って15余る数として成立しているようです。

これ指数ですから、2の514乗なんて具体的な数字の中身まともに出せません(155”桁”の数です……)。つまりこれと対になる負のmの値は回答欄に表記できる代物ではなくなります。

試験問題で計算させる分量を遥かに逸脱しているでしょう。

これが自然数でなくては(出題として)困る理由です。

 

どういう範囲で問題を考えれば良いのか。

推論の大事な視点であり、数学の問題はそうした思考力を鍛える良い機会ですね。

 

参考になれば幸いです。

(回答ココマデ)

 

余談

代数的整数論とかが分かればもっと興味深い考察ができるのかもしれない。

というのも以前えらく考えてて太刀打ちできなかった「ラマヌジャン・ナーゲル・スコーレムの定理」という、

m^2 + 7 = 2^n を満たす自然数組(m,n)は5つしかない。

問題に似ているなーと感じたためです。

エルデシュとかラマヌジャン辺り、この手の累乗と倍数の和についての等式に関する結果を結構残してて、素人目にもとっつきやすい見た目してるのにくっそ難しい問題として扱えるようになりたいなーと思ってはいるのです。

ロカールラマヌジャン問題とか。虚2次体の整数環なんかの話とかイデアルがどうとか!

勉強、したいですね。