質問
さて。次数の大きいこの積分、どう解いてみましょうか?
回答
これは面白い問題でした。
STEP1、次数を下げる
まずざっと被積分関数をみるとx^2でパーツができていると感じられたので、これをt=x^2と置き換えましょう。
すると与式Iは、
I = 1/2 ∫[0,1] (t√t -√t)/(1+t^2)^2 dt
と変形されます。
これをもう少しいじくると、
= 1/2 ∫[0,1] {(1/t)(√t -1/√t)} /(t +1/t)^2 dt
となります。
ややこしくしたように見えるけれど、t +1/tがポイントです。
STEP2、反転双対
この逆数に対称的な形って、相加相乗平均などいろいろ見かけるんですが今回それを大胆に使います。
ここで唐突に、√t +1/√tの微分を考えると
(√t +1/√t)’ = (√t -1/√t)/(2t) ですので、これは与式の分子になっています。
また、(√t +1/√t)^2 = t +2 +1/tですから
t +1/t = (√t +1/√t)^2 -2と表せますので、√t +1/√t = y と置換すると
与式I = ∫[∞,2] dy/(y^2 -2)^2
と一気にコンパクトな表記になりましたね。
STEP3、BBB
ここまでくれば積分変換の難所は通過しました。
あとば部分分数分解ですね。計算の簡便の為にy=√2 vと置換し、分子に小細工すると
I = √2/16 ∫[∞,√2] 4/(v^2 -1)^2 dv と書けて、
これを分解すると(4元連立は端折らせてください…)
= √2/16 ∫[∞,√2] { 1/(v+1) +1/(v+1)^2 -1/(v-1) +1/(v-1)^2 } dv
Final、代入計算
積分を実行して、
= √2/16 [ log|v+1| -1/(v+1) -log|v-1| -1/(v-1) ][∞,√2]
= √2/16 [ log|(v+1)/(v-1)| -2v/(v^2 -1) ][∞,√2]
= √2/16 { log|(√2 +1)/(√2 -1)| -2√2 }
= √2/8 { log(√2 +1) -√2 }
STEP2の置換はかつて、反転の勉強をしていて考えたことはあったものの、使える例に出会って実際に問題を解いてみたのは初めての経験でした。
とても良い機会を得られたので回答させていただきました次第です。
参考になれば幸いです。