積分、J3、3次の分数式の積分、可読性と機動力
質問
回答
3次の分数式の積分ですね。ややめんどくさいですがパターンが決まってますのでサクサク解いちゃいましょう。
今回の回答の流れはこのような感じ↓
STEP1,「帯分数化」する。
分数式はまず、分子側の次数を分母側の次数より小さくするのが鉄則ですので、あたかも帯分数のように整数部分を放り出します。
与式
= ∫[0,1] (1 +24/(x³+8)) dx
= 1 +∫[0,1] 24/(x³+8) dx
余計な数字は計算ミスの元なので、規格化するために x = 2t と置換しましょう。
すると、約分することで
= 1 +2∫[0,1/2] 3/(t³+1) dt とシンプルになりました。
STEP2,今週の積分#28
ご存知ヨビノリの積分でも出てきてる、有名な問題ですね。
参考:
ただし、区間の上端は1/2ですし、この後の部分分数分解の時のこともあって分子に3がある方がやりやすい点が相違点かな。
というわけで、∫[0,1/2] 3/(t³+1) dt の解法ですがざっくりとしたあらましのみ。
∫[0,1/2] 3/(t³+1) dt 、分母を因数分解して
= ∫[0,1/2] 3/(t+1)(t²-t+1) dt 、部分分数分解して
= ∫[0,1/2] {1/(t+1) - (t -2)/(t²-t+1)} dt 、微分形を作り出すように帯分数化して
= [log(t+1)][0,1/2] - (1/2)[log(t²-t+1)][0,1/2] +(3/2)∫[0,1/2] dt/(t²-t+1)
= log(3/2) -(1/2)log(3/4) +(3/2)∫[0,1/2] dt/((t -1/2)²+3/4)
STEP3,分母が2次の分数式の積分は
平方完成することで二乗の和か差の形になります。
二乗和でしたら、tan置換
二乗差でしたら、和と差の積から再び部分分数分解に持ち込めますね。
今回は二乗和パターンですので、
t -1/2 = (√3 /2)tan(θ)と置換しましょう。
∫[0,1/2] dt/((t -1/2)²+3/4)
= ∫[-π/6,0] (2/√3) dθ
= 2π/(3√3)
LAST,通分したりlogをまとめて
与式
= 1 +2∫[0,1/2] 3/(t³+1) dt
= 1 +2{ log(3/2) -(1/2)log(3/4) +(3/2)∫[0,1/2] dt/((t -1/2)²+3/4)}
= 1 +2{(1/2)log(3) +(3/2)•2π/(3√3)}
= 1 +log(3) +π/√3
≒ 3.9124
以上、積分の様々なテクニックをいかに丁寧に実行できるかが求められる、素朴で面倒だけれど味のある問題でしたね。ごちそうさまでした。
参考になれば幸いです。
( 回答ココマデ)
所感
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今回、3次の部分分数分解がコアとなる問題であると、手慣れた積分家なら看破しちゃいます。
以前に回答した問題のBBBとはちょっと毛色が違うかな?
pedantic-ganger.hatenablog.com
あるいは未だ書きかけの「J3」の記事の方が詳しい事情が述べられるかも。
可読性と機動力
知恵袋で回答を行ってからのこちらでの投稿という流れ上、TeXやマークダウンを使うより平文で数式をそれっぽくプレーンに記述するスタイルの方が「機動力」がある。
自分でも後からまぁ「読みにくい」と感じることもあるのですが、極力わかりやすい工夫を心がけるのはもちろんですが、読者サイドとしてはどうなんでしょうね。
TeXで式起こしするのしんどいので手書きの答案写真も併記することで主張を汲んではもらえまいか。
いっそどっちで通した方がPVなどの数字が取れるのかしばらく期間を設けて実験したら踏ん切りがつくかもね。