衒学記鳥の日樹蝶

メイン記事が数学にシフトしてきたブログ。

未整理、定積分、logと分数関数

質問

以下の広義積分の解法をご教示下さい。

∫[0→∞] (logx / (1+x)^3)dx


よろしくお願いいたします。 #知恵袋_

以下の広義積分の解法をご教示下さい。 - ∫[0→∞](logx/(1+x... - Yahoo!知恵袋

\int_0^\infty \frac{\log(x)}{(1+x)^3}\,dx

回答

これはなかなかの難問でございました。

 


不定積分を求めるという問題でしたら、部分積分微分側がlog(x)、積分側が1/(1+x)^3で分けてから3次の部分分数分解)で解決できる、比較的難度の易しい積分だったのですが。

log(x)に対して0→∞の絡んでくる広義積分と来たかー……

 

もちろん不定積分を極限とるくらいでは解決しなかったので、*1置換積分をごりごり進めて解決を図ります。

 

 

 

STEP1.置換:1+x = t

分母の3次式が多項式なのが扱いづらいので単項式にしましょう。

それと次のSTEPにて、0→∞ではなく1→∞のが都合が良いという理由もあり先に置き換えさせてもらいました。

与式

=∫[1,∞] log(y-1)/y³ dy

 


STEP2.置換:t = 1/y

はい、オイラーの常套手段ですね。無限大を単位区間へと押しこごめる魔法。

ゼータ関数の解析接続でも使ってましたね。

助かるのは、logの中身の分数式は積の形で分解できて、被積分関数がまた簡単にできるのですね。

=∫[1,0] t³ log(1/t -1) (-1/t² dt)

=∫[0,1] t log((1-t)/t) dt

=∫[0,1] t log(1-t) dt - ∫[0,1] t log(t) dt

 


STEP3.置換:log(〜) = - u

t × log(t) の形で積分区間0→1ときたら「ガンマ関数」へ置換できますね。

STEP2で二つの「 t × log(t) の形」の積分が現れましたので、その各々に置換を施しましょう。

=∫[0,∞] {1-e^(-u) }(-u)e^(-u)du - ∫[∞,0] e^(-u)(-u)(-e^(-u)du)

 


大抵の広義積分は厄介で、複素積分などを駆使することで解けるものも多いのですが、積分区間0→∞の問題はこうしてガンマ関数に持ち込むことを意識すると結構対処できるものがあります。

結果的に整頓すれば、与式は

=∫[0,∞] u{e^(-2u) - e^(-u)} du + ∫[0,∞] u e^(-2u) du

=2∫[0,∞] u e^(-2u) du - Γ(2)

 置換:2u = v

=(2/4)∫[0,∞] v e^(-v) dv - Γ(2)

= 1!/2 - 1!

= -1/2 という値が得られます。

 


積分の問題はやはり面白いですね、大変楽しうございました。

参考になれば幸いです。

(回答ココマデ)

*1:Wolfram Mathematicaでも匙を投げられたんだけどどういうことなの……?